書物の頁を繰ると、そこから不思議な幻想世界への旅がはじまっていた。戦中から焼跡へ、さらに未来へと、失われた都市の相貌を求めて、通り過ぎた奇人、変人、そして凡人たちの顔を探して、書物めぐりの旅は続く。名著、奇書、珍本…博覧強記の筆者による異色の読書案内。序章 名前と肩書の研究『潮文化人手帖』1 不思議な節穴―武井武雄『戦中気儘画帳』2 畸人ぎらい―色川武大『怪しい来客簿』3 猫が食いたい―石堂淑朗『好色的生活』4 吸血鬼入門―種村季弘『吸血鬼幻想』5 見えない人間―『定本山之口獏詩集』6 開かれた箱―坂根巌夫『遊びの博物誌』7 悪への郷愁―高垣眸『豹の眼』8 泥棒繁盛記―野尻抱影『大泥棒紳士館』9 分家開き―谷崎潤一郎『秘密』10 二階の話―古今亭志ん生『二階ぞめき』11 我が闘争―吉田健一『流れ』12 逃げた浅草―『正岡容集覧』13 九段の怪談―内田百〓@6BE1『遊就館』14 見世物今昔考―江戸川乱歩『パノラマ島奇談』15 大食のすすめ―武田百合子『富士日記』16 接続法第二式―『木村・相良独和辞典』17 ベルリッツ・スクール―イヨネスコ『授業』18 書かれなかった本―四方八郎『ビルマ革命の内幕』19 Kilroy was here―ドウス昌代『東京ローズ』20 留学の成果―久生十蘭『新西遊記』終章 何でもないものの魅力―武田泰淳『新・東海道五十三次』
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