グローバル化の今だからこそ問う。私たちは本当に"越境"しているのか、と。パンデミックと戦争のさなか国際交流基金の職員たちが辿り着いた書評という方法。序章 "心の鎖国"に抗して第1章 文化交流の現場で、他者と出会う(「小さな民」の世界へ―村井吉敬『インドネシア・スンダ世界に暮らす』;ハルキのむこうに「日本」が見える―国際交流基金企画『世界は村上春樹をどう読むか』;自分だけの真実―ミア・カンキマキ『清少納言を求めて、フィンランドから京都へ』 ほか)第2章 歩きながら、私は何者かを考える(あなたにとって、友人とは誰か?―デール・カーネギー『人を動かす』;一粒のガラスを集める―シーダーオルアン『一粒のガラス』;村上春樹さんについて語るときに僕の語ること―村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』 ほか)第3章 人と人がつながる。人間とは何か?(現実をまなざすことの困難―四方田犬彦『見ることの塩』;揺らぐ境界線、「わたし」と出会い直す―松村圭一郎『はみだしの人類学』;相互理解という深淵へのまなざし―スーザン・ソンタグ『他者の苦痛へのまなざし』 ほか)終章 「国境を越える」意味を再考する本書は一般的な意味でのブックガイドとは異なる。本書は、日本最大の公的国際交流機関である、国際交流基金の職員が、自分たちの「愛読書」を取り上げ、それらを通じて、国際文化交流に懸ける自らの思いを語っている。今、世界は著しく変化している。ウクライナ戦争やコロナ禍、新冷戦はじめ、国際社会において対立が深まり、人類が悲惨な戦争の教訓から得た国際協調の精神が大きく揺らいでいる。そもそも、グローバリゼーションの時代にあって国境を越えることが容易になったと考えられていたが、私たちは本当に〈越境〉していたのだろうか
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