原始仏教に始まり、大乗仏教を経て、日本の仏教へ。死者・他者との関わりから、即身成仏、宗教国家、さらにキリスト教からの視点までも考える。「空」とは何か、大乗仏教はいかに誕生したのか、そして日本仏教の変化とは―。『法華経』『般若心経』『教行信証』『正法眼蔵』などを、仏教学の第一人者が従来の研究や通説にとらわれず読み解く、スリリングな試み。「仏典をよむ視座」として近年の研究成果を加えた。第1部 死からはじまる仏教(大いなる死―『遊行経』;死と生の協奏―『無量寿経』;他者と関わり続ける―『法華経』;否定のパワー―『般若心経』;心の中の地獄と仏―智〓『摩訶止観』;禅の中の他者と死者―圜悟『碧巌録』)第2部 日本化する仏教(現世を超えた秩序―景戒『日本霊異記』;仏教は俗世に何をなしうるのか―最澄『山家学生式』;この身のままに仏となる―空海『即身成仏義』;贈与する他者―親鸞『教行信証』;脱構築から再構築へ―道元『正法眼蔵』;宗教国家は可能か―日蓮『立正安国論』;異教から見た仏教―ハビアン『妙貞問答』)大きな災害やコロナ・パンデミックを経て、あらためて仏典の智慧が注目されている。仏教学・思想史の第一人者による案内と、親しみやすい訳で読み解く。ブッダの死後残された人々が、その死を乗り越えようとしたことに、仏教の誕生を見出す。死者すなわち他者と向き合うことを仏教の本質と捉え、親しみやすい訳で、インド・中国の仏典を読み解く。そして日本に伝わった仏教では、土着化と原点回帰の2つの動きがせめぎ合う中、独特のダイナミズムが生まれた。世界の中でも異色とされる、日本仏教について考える。増補「仏典をよむ視座」を収録し、直近10年間の新たな研究成果を加えた。解説・中島隆博■目次■はじめに第一部 死からはじまる仏教
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