農業と工業の関係、交通の発達による大規模な人口移動、進化論や『資本論』の意義など、「帝国の時代」へと向かう諸相を描く。第3部 結果(土地;人間の移動;都市、工業、労働者階級;ブルジョアの世界;科学、宗教、イデオロギー;芸術;帰結)〈本書は、現代世界のルーツを明らかにしようとする試みの一つといえる。とくに鉄道、海底電線、移民、スエズ運河等々具体的な叙述を通じて、世界が一体化すると同時に、多様化してゆく有り様を興味深くえがいていることは、著者のすぐれた力量をうかがわせる。〉(「朝日新聞」)〈19世紀ヨーロッパ史の国別、テーマの個別研究は無数にあっても、それらを全体として俯瞰するような仕事は意外に少ない。……ヨーロッパ史を全体として捉えた本書の視角は、これまでに蓄積された膨大な個別研究を位置づけてゆくうえで、重要なヒントを与えてくれるであろう。〉(「日本読書新聞」 川北稔氏)〈「序言」の中で著者は、自分は19世紀中葉という時代に多少の嫌悪・軽蔑を感じていると告白している。しかしそのような感情で本書の叙述が損なわれることはない。読者はむしろ、多くの事実を一つの歴史像にまとめ上げた著者の力量を強く感じられるであろう。〉(「週刊読書人」 青木康氏)〈このたび翻訳された『資本の時代』は、実証的に多数の国が対象とされ、しかもそれらが総合化されているという意味で、ホブズボームでなければ書けない本であるといってよいだろう。〉(「経済セミナー」 松村高夫氏)
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