姉アマテラスに逆らって追放されたスサノヲ。スサノヲの娘スセリビメと結ばれて地上の主として君臨したオホナムヂ(オホクニヌシ)。しかし、その栄華も高天の原の神がみによって打ち砕かれる。この物語はなにを意味するのか。神話の向こうに微かに見える、古代における日本列島の姿を明らかにせんとする、著者の古事記研究五十年余の総決算!はじめに―古事記を読むということ第1章 出雲とはいかなる世界か第2章 さすらうスサノヲ第3章 母なるカムムスヒ第4章 オホナムヂからオホクニヌシへ第5章 オホクニヌシの国作り第6章 制圧される出雲むすびに―遺りつづける記憶【担当編集ノート】三浦佑之さんといえば、大ベストセラー『口語訳 古事記』の著者にして現代古事記研究を牽引する人です。お嬢さんの三浦しをんさん曰く「コジオタ(古事記オタク)」。その三浦さんの主張の核心こそ「『記紀』の呪縛からの解放」です。簡単にいえば「多くの人は『古事記』と『日本書紀』を似たようなものと考えがちだが、それは大きなまちがい。ふたつの書物はまったく別の意図をもって編纂されたと考えるべきで、その証拠が出雲神話とよばれるものである」ということ。古事記は、上・中・下の3巻から成り、神々のことは上巻において大河小説のように語られます。そのなかで、出雲神話と呼ばれる部分はおおむね以下の部分です。1)アマテラスの弟スサノヲが高天の原を追放され、出雲の国の肥の河の上流にやってきて、コシノヤマタノヲロチを退治し、生贄になって喰われるはずのクシナダヒメ(櫛名田比売)を助けて結婚し、子孫が繁栄する話。2)スサノヲから数えると7代目にあたる子孫オホナムヂが傷ついたウサギを助けたり、命を狙う兄たちから逃れて根の堅州国に行くなどの試練と成長を語る冒険物語。3)オホ
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