ソシュールの翻訳で知られる小林英夫の教えを受け、朝鮮語学の確立に貢献した天才言語学者、金壽卿。しかしその人生は、戦火と冷戦に翻弄され波瀾に満ちたものであった。若くして10数ヵ国語を操り、構造主義をはじめとする最新の学術に精通したその才能がたどる苦難には、20世紀のすべてが凝縮されている。知への情熱、家族との離散、社会主義体制下での制約と創造。歴史と思想がなだれ込む圧倒的評伝。第1章 植民地のポリグロット第2章 解放と越北第3章 リュックのなかの手帖―朝鮮戦争と離散家族第4章 朝鮮戦争下の学問体制再編第5章 政治と言語学第6章 再会と復権北朝鮮に生きた天才言語学者の生涯を通して描く、壮大な20世紀史ソシュールの翻訳で知られる小林英夫の教えを受け、朝鮮語学の確立に貢献した天才言語学者、金壽卿(キム スギョン)。しかしその人生は、戦火と冷戦に翻弄され波瀾に満ちたものであった。若くして10数ヵ国語を操り、構造主義をはじめとする最新の学術に精通したその才能がたどる苦難には、20世紀のすべてが凝縮されている。知への情熱、家族との離散、社会主義体制下での制約と創造。歴史と思想がなだれ込む圧倒的評伝。金壽卿(キム スギョン)/1918年、朝鮮の江原道で出生。1940年に京城帝大(哲学科)を卒業後、東京帝大大学院(言語学講座)進学。1944年に京城帝大・嘱託。朝鮮解放後の1946年に越北し、創立したばかりの金日成綜合大学の教員となる。若くして朝鮮語学講座長となり、国の正書法や朝鮮語文法の確立に中心的な役割を果たす。1950年、朝鮮戦争の勃発後に家族と離散。1968年に学界から一度姿を消すが、約20年後に復帰。名誉が回復され、本人を主人公とした実話小説まで出される。2000年逝去。第1章 植民地のポリグロット 1 為すより先に在る
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