一九四五年八月から七年半の間、日本は独立国ではなかった。GHQの干渉は今に至るまで日本の政治に影を落としている。本書は、関係者の手記やインタビュー、遺贈文書を検証し直し、証言の少ない占領期の出来事に新たな角度から光を当てる。公職追放という"政治的な死"を避けるために、有力者らは球団を創設し、アメリカ通をブレーンにし、秘密結社に入った。追放を免れた側では、首相の座をめぐって政治史が修正され、現在まで続く「保守本流」の系譜が巧妙に形作られていく。戦後史と日米関係の捉えなおしを迫る、俊英による力作。序 「あのお話はなかったことにして下さい」第1章 広島カープの生みの親・谷川昇の軌跡第2章 「バルカン政治家」三木武夫の誕生第3章 フリーメイソンと日本の有力者たち第4章 田中角栄伝説と戸川猪佐武『小説吉田学校』おわりに 「道義のない民主主義はありません」権力の正統性はいかに歪められたか? 不透明な権力とどう向き合ったのか?日本が米国による占領から独立を回復して70年が経った。現在の政権は久々の"保守本流"宏池会出身者が担う。かつて宏池会のトップを務めた宮澤喜一は、敗戦直後に占領軍側と直接交渉する立場にあり、そのことを回想したあるインタビューで「占領というのは非常に屈辱だ」と述懐した。最高権力をGHQが持っていたこの時代には、記録に残らなかった数々のエピソードが埋もれている。 最高権力行使の象徴的な例が「公職追放」だった。そこでは有名無名を問わず、政治や行政にかかわる人々が理不尽ともいえる目に遭っている。現代の私たちは、戦後民主主義の恩恵を受けた者として、GHQの権力を"すでに消えてなくなったもの"として忘れ去っても問題はないのだろうか。公職追放の体験を「黙して語らなかった」人々の運命に、関心な
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