食うため、生きるために戦ったドイツ傭兵=ランツクネヒトは、暗黒の封建世界で全く新しい個我を確立し、高度な生活共同体を形成した。軍事史では掬い取れない戦争社会の全景。第1章 根元と始源・ドイツ傭兵の成立第2章 募兵、応募そして禁令第3章 誓いと給料第4章 傭兵隊の制度と組織第5章 組合と修道会第6章 傭兵契約期限が切れたときの生活―軍の除隊時期第7章 酒保の女たち第8章 傭兵隊長第9章 時代と社会のなかの傭兵第10章 終わりと展望ヨーロッパ近代の扉をこじ開ける「人柱」となった兵士たちの文化史。ドイツ傭兵(ランツクネヒト)の全貌を活写 ヨーロッパ中世後期(15世紀末)から30年戦争に至るまでの約200年間、ドイツ国内のみならずヨーロッパ全土で戦った非正規軍、ドイツ傭兵部隊=ランツクネヒトの生態誌を通して、暗黒の封建世界から近代ヨーロッパへのパラダイム変換期の本質が浮かび上がる。 ヨーロッパ中世後期(15世紀末)から30年戦争に至るまでの約200年間、ドイツ国内のみならずヨーロッパ全土で戦った非正規軍、ドイツ傭兵部隊=ランツクネヒトの生態誌を通して、暗黒の封建世界から近代ヨーロッパへのパラダイム変換期の本質が浮かび上がる。 「兵士になるしかないあぶれ者」であり、あくまで「食うため・生きるため」に傭兵となった彼らは上からの一方的な統制を極端に嫌い、何よりも「個我」を優先させる。と同時に、結束して雇い主である王侯たちに立ち向かう共同決定権をも確立してゆく。これがランツクネヒトのアイデンティティであった。彼らの戦いは結果的にはヨーロッパ王侯の君主権を強化し、図らずして自分たちには全く無縁であったはずの国家への忠誠心をヨーロッパに植えつけ、近代への扉をこじ開けることになる。 従来の軍事史では掬い取ること
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