本書は、「相互行為言語学」「類型論」「認知言語学」「会話分析」「ポライトネス」「民族詩学」などの分野を横断する超領域的な新しい語用論の領域に挑戦する。第1部 相互行為言語学・類型論(相互行為言語学の観点から見た日本語の「の(だ)」と中国語の文末詞「的」―知識状態の概念を援用して;文法を形作る言語使用―フィリピン言語のヴォイスと格に関する談話的アプローチ;中国語のクリックと参与スタンス;インタラクションのあいづち連鎖に伴うスマイルとスタンスの関係性)第2部 認知言語学(見せる笑顔への変革―「笑顔」カテゴリーの通時的研究;身体部位詞の換喩の修辞的効果―身体イメージのレトリック)第3部 会話分析・談話分析(身体的実演を伴う教授場面の相互行為分析―アドレス性に注目して;会話への途中参加を巡る動機付けと許容に関する認知語用論的考察―理容室でのコミュニケーションを対象とした事例分析をもとに;保護者‐保育士間会話における報告連鎖)第4部 動的語用論の広がり―歴史語用論・ポライトネス、会話と文法、民族詩学(薄幸のベネファクティブ「てさしあげる」のストーリー―敬意漸減と敬意のナルシシズム;日常会話をもとにした文法研究―引用の「って」をめぐって;詩的語用論の静態と動態―民族詩学の可能性をさぐる)ことばは今この瞬間に動き、獲得され、歴史的に変化し、ミクロ、マクロに渡って変異する。そのとき、どんな「駆動体」が働き、やがて緩い「集合体」へと収斂されていくのか。その過程の解明こそがことばの動的な性質の鍵となる。本書『動的語用論の構築へ向けて』(第3巻)は、「相互行為言語学」「類型論」「認知言語学」「会話分析」「ポライトネス」「民族詩学」などの分野を横断する超領域的な新しい語用論の領域に挑戦する。執筆者:堀
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