人々を社会参加へと枠づける言葉は、どのような政治的・社会的文脈で生まれ、いかなる帰結をもたらしてきたのか。その言葉がまとう形はどのように作動するのか。近現代の日本におけるボランティア言説の展開をたどり、参加型市民社会のあり方を鋭く問いなおす。序章 「ボランティア」をめぐる語りと"贈与のパラドックス"―問題設定と方法第1章 「ボランティア」のささやかな誕生―戦前期日本における"贈与のパラドックス"解決の諸形式第2章 戦後改革と不分明地帯の再構築―一九四五ー一九五〇年代前半第3章 "政治"と交錯する自発性と贈与―一九五〇年代前半ー一九六〇年第4章 分出する「ボランティア」―一九五九ー一九七〇年第5章 「慰問の兄ちゃん姉ちゃん」たちの"1968"―大阪ボランティア協会とソーシャル・アクション第6章 國士と市民の邂逅―右派の創った参加型市民社会の成立と変容第7章 ボランティア論の自己効用論的転回―転換する「戦後」:一九七〇年代第8章 実体化する"交換"・忘却される"政治"―一九八〇年代第9章 「ボランティア」の充満と"終焉"―互酬性・NPO・経営論的転回:一九九〇ー二〇〇〇年代終章 "贈与"の居場所―まとめと含意「善意」と「冷笑」の狭間で――。人々を社会参加へと枠づける言葉は、どのような政治的・社会的文脈で生まれ、いかなる帰結をもたらしてきたのか。その言葉がまとう形はどのように作動するのか。動員モデルと意味論分析を介して日本におけるボランティア言説の展開をたどり、参加型市民社会のあり方を鋭く問いなおす。シニシズムを脱することはできるのか。
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