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現場にいるジャーナリストほど役に立たない存在はない。支援物資をわたすわけでもないし、医療行為を施すこともできない。しかし、文章や写真を通して、絶望の淵で必死に生きている人々の姿を伝えることはできる。日本のマスメディアが伝えることのない人々の声を拾い上げた。忘れられた難民オリンピックの裏側でフィリピンの笑顔と涙干ばつと紛争のスーダンを行く世界最大の難民キャンプ空爆されたら「さようなら」南米最貧国ボリビアイスラム国とクルド難民ネパール大地震の記録山岳地帯に生きる少数民族救済の寺院学校この世界は限りない不平等で満ちあふれており、罪のない多くの人々が不利益を被りながら生きている。私は、これら日本のマスコミが伝えることのない、光の当たることのない人々の声を拾い上げ、本書を通じて伝えることにした。 民族同士の争いで、暮らしていた村を襲われた南スーダンの少女は、目の前で両親を殺害されただけでなく、自身も暴行を何度も受けた。数か月に及ぶ逃避行の末、隣国ウガンダの難民キャンプに辿り着いたものの、暴行により妊娠してしまい、将来が見えぬまま不安を抱えながら生きている。 シリアの内戦から逃れてきた少年は、トルコへ移動する途中で地雷の被害に遭い、最愛の兄を亡くした上に両足を失ってしまった。残された一家は倉庫の片隅に隠れ暮らすが、収入はなく、文字通り絶望の淵に立たされていた。 私が取材してきた人々の苦しみは、決して過去の出来事ではない。今現在も続く、まぎれもない現実なのだ。世界の不平等は改善されることがない。その理由は、人々が今起きている現実から目をそらし続けているからだ。まずは、「私たち自身が知る【太字】ことから世界は変わる」と訴えたい。 私はこれまで、単に世界各地の難民・被災民の状況を伝えるだけでよ   Honya Club.com