「3・11」以降の日本列島は、「大地変動の時代」に突入してしまった。富士山にも、火山学者たちが密かにおそれる、ある重大な「異変」が起こった可能性が高い。2030年代に高い確率で発生する、南海トラフ巨大地震の衝撃が加われば、300年間蓄積したマグマが一気に噴き出しかねない。火山学の第一人者による、渾身の予測と提言。第1部 富士山噴火で起こること(火山灰―都市を麻痺させるガラスのかけら;溶岩流―断ち切られる日本の大動脈;噴石と火山弾―登山者を突然襲う重爆撃;火砕流と火砕サージ―山麓を焼き尽くす高速の熱雲;泥流―数十年間も続く氾濫と破壊)第2部 南海トラフと富士山噴火(地理と歴史からみた富士山噴火;「3・11」は日本列島をどう変えたか;南海トラフ巨大地震との連動はあるか;山体崩壊のおそるべきリスク;富士山の噴火予知はどこまで可能か;活火山の大いなる「恵み」)2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震は、富士山の様相をも決定的に変えてしまった。津波や原発事故に人々の目が奪われているなか、ある重大な異変が富士山で生じた可能性に、火山学者たちはひそかに青ざめた。いまや富士山は、いつ噴火してもおかしくない「スタンバイ態勢」に入ってしまったのだ。しかも「そのとき」は、やがて起こる南海トラフ巨大地震の直後に来るおそれがある。富士山が最後に噴火した1707年の「宝永の大噴火」では、そのわずか49日前に、南海トラフ巨大地震(宝永地震)が起きていたのだ。実は富士山と南海トラフには、地球科学的にみて密接な関係がある。富士山の美しさも、恐ろしさも、南海トラフがつくっていると言っても過言ではないのだ。2030年代の発生が予想される次の南海トラフ巨大地震に「令和の大噴火」が連動すれば、西日本が壊滅的な打撃を受けた直後に首都
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