軍艦島:人工の炭鉱島、黒神村:溶岩に埋れた村の日々。閉ざされた世界に、隔絶されたその場から逃げることなく、限界状況を生き続ける人間の生を見たように思った。60年の時の彼方から帰って来た幻のデビュー作『人間の土地』刊行30年の時を経て再び甦る。"巨匠・奈良原一高が一躍時の人となった伝説の初個展『人間の土地』。 その作品群をまとめた写真集が、30年の時を経て造本を一新し新装版として復刊決定! 明治日本の産業革命遺産として、2015年に世界遺産にも認定された長崎市沖に浮かぶ周囲1.2?ほどの無人の島・端島。通称・軍艦島とも呼ばれるこの島には、最盛期の1960年に、狭い島内に約5,000人を越える人々が暮らしており、当時の東京の9倍という脅威の人口密度を誇りました。 石炭がエネルギー資源とされていた時代、そこに暮らす炭鉱労働者たちとその家族の姿をとらえた第一部「緑なき島」と、1924年の鹿児島・桜島の大噴火により600戸以上あった村の家屋をはじめ3メートルもの鳥居までもが地中に埋まってしまった桜島東部の集落・黒神村を取り上げる「火の山の麓」。これら二部構成で、本作品集はまとめられています。 いずれも過酷な環境下で生きる人々の力強い姿がストレートに捉えられており、奈良原自身初となった1956年銀座松島ギャラリーでの個展、その約30年後の1987年にリブロポートより刊行された写真集は、ともに大きな反響を呼びました。 隔絶された二つの場所に近代日本の閉塞感をも象徴させ、どこか心象的とも取れる作品群は、日本写真史の中で"パーソナル・ドキュメント"として確立され、以降の活動にもつながっていきます。 特に第一部「緑なき島」での記録は、約40年前に無人・廃墟となった端島が稼動していた時代の貴重な生きた資料としても名高く、多くの復刊リクエストを
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