日本を代表する社会学者、見田宗介氏。『現代日本の精神構造』や『近代日本の心情の歴史』で日本と日本人がたどってきた道を鮮やかに分析した見田氏は、連続射殺事件の犯人を扱う「まなざしの地獄」で衝撃を与えた。そして、カルロス・カスタネダとの邂逅によって飛躍を遂げると、「真木悠介」名義で『気流の鳴る音』や『自我の起原』など、歴史に残る名著を生み出していく。この稀代の知性の根底には、かけがえのない他者たちとの「対話」があった。著者自身が精選した珠玉の一一篇から成る、初の対話集。河合隼雄―超高層のバベル大岡昇平―戦後日本を振り返る吉本隆明―根柢を問い続ける存在石牟礼道子―前の世の眼。この生の海。廣松渉―現代社会の存立構造黒井千次―日常の中の熱狂とニヒル山田太一―母子関係と日本社会三浦展―若い世代の精神変容藤原帰一―二一世紀世界の構図津島佑子―人間はどこへゆくのか加藤典洋―現代社会論/比較社会学を再照射する『現代日本の精神構造』(1965年)や『近代日本の心情の歴史』(1967年)で日本と日本人がたどってきた道行きを具体的な事象を使って鮮やかに分析した社会学者は、人々を震撼させた連続射殺事件の犯人を扱う「まなざしの地獄」(1973年)でさらなる衝撃を与えた。その名を、見田宗介(1937年生)という。続くメキシコ滞在を機に、さらなる飛躍を遂げた社会学者は、「真木悠介」の名を使ってエポックメイキングな著作『気流の鳴る音』(1977年)を完成させる。ここで形を得た人間観と、そこから導かれるコミューンへの憧憬は、独自の理論に結晶していき、数多くの信奉者と、数多くの優れた弟子を生み出した。その成果は、『時間の比較社会学』(1981年)や『自我の起原』(1993年)といった真木悠介名義による労作を経て、ついに『現代社会の理論』(19
Honya Club.com