鹿児島県は、日本全国を見回しても飛びっ切りの特別地域だ。日本本土の最南端に位置し、その歴史も文化も気質も他の地域とは大違い。その上、明治維新にあたっては革命の主役となり、今に至るまで日本国に絶大な影響力を及ぼしている。平たく言って、日本にあって日本でないのに、日本の中核を担ってきた、いや担っている県なのである。 が、それだけの影響力を持ちながら、その実情は複雑怪奇。政治的に孤立する必要があった江戸時代が終わっても、単純に他の地域から遠いことでやっぱり田舎ではあったし、相変わらず独立独歩の気風は強かった。 そんな鹿児島県も、近年は大きな変化を迎えている。平成の大合併では、96あった市町村が43に減少。九州新幹線(鹿児島ルート)が開通し、西鹿児島駅が鹿児島中央駅となったことで、鹿児島市は大きな発展の可能性を手に入れた。3 中でも鹿児島市の勢いはめざましい。新幹線と2008年放送の大河ドラマ『篤姫』に合わせた一連の開発で、鹿児島市の中心部は大きく発展。この流れは今も続いており鹿児島駅、谷山駅、天文館など各地において、新たな街が姿を現している。さすが鹿児島という快進撃ぶりをみせているのだ。 しかしその一方、鹿児島市以外の地域は開発から取り残された地域も多い。大隅半島では加工業が伸長する反面、過疎化と市街地のシャッター街化が深刻。薩摩半島でも、姶良市のように市町村合併の恩恵を活かしている地域もあれば、出水、薩摩川内といった新幹線駅のある地域ですら、人口減少の波に飲み込まれようとしている現実がある。 一体、鹿児島県は今どうなっているのか。実力も底力もあり、それを存分に発揮しているのに、県全体では沈んでいる。果たして今の鹿児島県は住みやすい地域なのか、それとも大きな変化が必要なのか。 本書は、謎多き鹿児島県の今を、豊富な資料分析と長期の取材から読み解いていく一冊だ。歴史や県民気質、合併や再開発の経緯と現状。多くの要素から見えてきた鹿児島県の真相とは。ぜひ一緒に、ご覧いただきたい。
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