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マルク・フェロー/片桐 祐 新評論
五百年におよぶ人間世界の歴史、それはとてつもなく広大な一枚の綴れ織だ。碩学の歴史家マルク・フェローは、それを一書で味わうチャンスを与えてくれた。とはいえ、この綴れ織の図柄は多くの読者にとって馴染みうすいものだろう。フェローが見せてくれるのは、その綴れ織の裏側だからである。  いかにも輝かしい近代の手柄話の歴史ならともかく、この近代を裏側から支え、ほとんど暴力的に「植民される側」へと追いやられた人々の歴史を、わたしたちは知らずにいることなどできるだろうか。明治以降の日本(あるいは旧日本軍)の歴史を思い起こしてみれば、この質問には「否」と答えるしかない。だが、ここで小さな囁きが聞こえてきそうだ。「その歴史は、近代化の遅れた東洋の弱小国が、精一杯頑張って西洋を模倣した、心ならずもの結果だ」と。フェローはそんな言い訳を聞いてくれない。本書には、決して模倣ではない、それ以前からの「日本人による先駆的植民地化」が描かれているからである。  とどのつまり、日本に住まうわたしたちにとって、本書に描かれた植民地化は他人事ではないということだ。それどころか、とりわけこれからの日本を生きる若者にとって、植民地化の過去を知ることは喫緊の課題といってもいい。なぜなら、日本は戦争を可能にするひとつのカーブを既に曲がってしまったからだ。その先にどんな光景が待ち構えているか予想は難しい。おそらく茶番ではすまないこの未知の光景に対処するための一枚のチャート、それが今求められている。そして本書『植民地化の歴史』こそ、その重要な一枚となるはずである。今回の翻訳によって、このチャートが日本の高校生・大学生にとっても充分読解可能なものに書き換えられていることは、いうまでもない。(かたぎり・ゆう 青山学院大学ほか非常勤講師) 楽天Books
発売日/出版年度 : 2017年03月21日頃   ISBNコード : 9784794810540
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