レーガー、マックス(1873-1916) Brilliant Classics *
ポリフォニーから名技まで聴かせる無伴奏ヴィオラ名曲集
レーガー:無伴奏ヴィオラのための3つの組曲、ほか
ルーカ・サンツォ(ヴィオラ)
ヴィオラの思慮深げでメランコリックな音色が最も生きるのが無伴奏作品。少しバッハ風なところもあるマックス・レーガーの組曲を中心としたこのアルバムでは、組み合わせのヴュータン、ペンデレツキ、ブリテン、ストラヴィンスキーによる4曲の小品の内容もエレジーのような内容が中心。演奏のルーカ・サンツォは近現代音楽にも強いイタリアのヴィオラ奏者で、それぞれの作品の個性を浮かび上がらせてヴィオラの魅力を堪能させます。
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作品情報◆ レーガー:無伴奏ヴィオラのための3つの組曲(トラック1〜12)
ドイツの作曲家、マックス・レーガー[1873–1916]は、50以上の作品をバッハに捧げたバロック・マニアな人物でもあります。レーガーはフーガ、パッサカリア、シャコンヌなど対位法形式の音楽を好み、これら3つの組曲にもそうした趣向が反映されていますが、第1次大戦中の1915年に作曲されたこともあってか、組曲第1番と第3番ではほの暗いエレジーのような雰囲気も印象的です。
◆ ヴュータン:無伴奏ヴィオラのためのカプリッチョ「パガニーニへのオマージュ」(トラック13)
ベルギーの作曲家、アンリ・ヴュータン[1820-1881]は、ヴァイオリンの名手として知られ、14歳でのロンドン・デビューに際してはパガニーニ[1782-1840]やベルリオーズ[1803-1869]とも出会っています。ヴュータンは53歳で脳卒中の発作に見舞われ半身が麻痺、残りの8年間はつらい生活でした。「パガニーニへのオマージュ」は、大先輩との若き日の出会いに想を得たのか、ノスタルジックな泣き笑いのような曲になっていて不思議な魅力があります。◆ ペンデレツキ:無伴奏ヴィオラのためのカデンツァ(トラック14)
ポーランドの作曲家、クシシュトフ・ペンデレツキ[1933–2020]は、前衛的なスタイルで成功し、記譜法も実験的でしたが、1970年代なかばからは五線譜への記譜に復帰。1984年に書かれたこの「カデンツァ」も、小節線や拍子記号は無いものの、五線譜に記譜されています。前年に書かれたヴィオラ協奏曲の素材が使用されたりしていることから、協奏曲のカデンツァと見做すこともできますが、緩急緩の構成と、急の部分でのバロック的ともいえる親しみやすさは緩の部分の嘆き傾向とのコントラストも明確で、独立した作品としての存在感も十分です。作品はソ連出身のヴァイオリンとヴィオラの名手、グリゴリー・ジスリンのために書かれています。◆ ブリテン:無伴奏ヴィオラのためのエレジー(トラック15)
イギリスの作曲家、ベンジャミン・ブリテン[1913–1976]が1930年に作曲した「エレジー」は、16歳と8か月のときの作品。ブリテン少年はピアノとヴィオラが得意で作曲は5歳から始めていたという天才ぶりで、10代前半にはフランク・ブリッジに長く師事していました。この作品はロンドンの王立音楽大学に入学する直前に書かれたもので、直近2年間のノーフォークの寄宿学校生活のつらい思い出が投影されています。◆ ストラヴィンスキー:無伴奏ヴィオラのためのエレジー(トラック16)
ロシア帝国生まれの作曲家、イーゴリ・ストラヴィンスキー[1882–1971]がアメリカ暮らし4年目の1944年に作曲した「エレジー」は、同じくアメリカ暮らし4年目のプロ・アルテ四重奏団の創設メンバーであるヴィオラ奏者、ジャーマン・プレヴォスト(ジェルマン・プレヴォ)からの委嘱作。主旨は1940年11月に白血病のため亡くなったプロ・アルテ四重奏団創設者で第1ヴァイオリン奏者のアルフォンス・オンノウ(アルフォンス・オンヌー)を追悼するというもの。聖歌や対位法の要素も取り入れた作風で、悲しみと親密さが同居したような独特な魅力があります。
演奏者情報◆ ルーカ・サンツォ(ヴィオラ)
ルーカ・サンツォはブルーノ・ジュランナの弟子で、ソリストとして活動するほか、ミケランジェロ四重奏団を創設する
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