本書は、18世紀のイギリスを代表する哲学者であるデイヴィッド・ヒュームの思想を読み解こうとする試みである。第一部は、ヒューム哲学を醸成した三つの都市、パリ、ロンドン、エディンバラの情景を交えつつ、ヒューム思想の時代背景を跡づける。第二部は、ヒュームの主著と目される『人間本性論』を取り上げ、ヒューム哲学の基礎を成す「知性論」の読み方について論じる。第三部と第四部は、ヒュームの宗教哲学を取り上げる。ヒュームは宗教と哲学の間で自らの論理を徹頭徹尾追求した。第三部では、当時最も物議を醸したヒュームの奇蹟論が論じられ、第四部は、神の存在証明の一つである計画性からの論証に関するヒュームの議論とその哲学的意義を考察する。
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