本書は、調和解析(Fourier解析)の抽象化の議論を追うことによって、局所コンパクト位相群上に拡張された抽象調和解析の基礎事項を整理したものである。本書の狙いとしては次の2つがある。第一には、Bochnerの定理、スペクトル合成、Plancherelの定理、Pontrjaginの双対性定理といった事例の抽象化を紹介することで、古典調和解析との対比を読者に促し、抽象調和解析の基礎が明確になるよう努めた(第5章)。第二には、第一の狙いを達成するために必要となる理論について、過不足なく厳密な説明を行ったことである。具体的には、位相群の基礎理論(第1章)はもちろんのこと、Banach代数(第2章)やHaar測度の存在や運用(第3、4章)について、基礎的事項から解説している。
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