東大は思想たり得るのか?権威の中心、官僚養成、学歴のシンボル…、東大に貼られてきた数々のレッテルを超える知の営みは、どこに存在したのか?医学、工学、物理学、建築学、経済学、社会学、歴史学、政治学等、日本の学知の中心を担い続けた特異な場の、知られざる思想史的ルーツを探索する。東大という思想―二一世紀の「学問のすゝめ」へ1 近代知を導入する(東京大学における近代ドイツ医学の受容と日本における展開;山川健次郎のアメリカ留学―日本の物理学の黎明;ヘンリー・ダイアーと日本の工学;白鳥庫吉と東洋史学の始源)2 東京帝大の戦前と戦後(高野岩三郎と日本の経済学;戸田貞三と日本の社会学―家族研究と社会調査;平賀譲における造船学と粛学のあいだ;内田祥三という人―日本の近代と建築;南原繁と戦後の東大)3 「紛争」の前と後で(鼎談・東大という思想―その不在と苦闘;アーカイブズ―自ら過去と未来を考えるよりどころ)「建学の理念」不在の東大.その姿は,国家の学を担わされながら,欧米の近代知と日本・アジアという足元の間で格闘してきた群像によって描かれざるを得ない.医学,工学,社会学,政治学,経済学ほか,一線の研究者が自らの始祖たちの像の素描に取り組んだ論文・エッセイ集.
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