古来より独自の思想で造り使われ続けている重厚な土木遺産や、そこにヨーロッパの近代技術が伝わり風土と融合して、さらに新しい魅力を醸し出している土木遺産…。アジアの文明や生活を支えつづけてきた土木遺産には、混沌とした中にも、先人たちの知恵と工夫、そして歴史が息づいている。ヨーロッパの土木遺産に続き、本書ではそんなアジアの土木遺産を紹介する。芍陂(しゃくひ)―中国・安徽省寿県(紀元前五九一年完成) 地元民の生活に溶け込む中国最古の巨大水利施設蘇州―中国・江蘇省蘇州(紀元前五一四年完成) 悠久の繁栄を続けてきた美しい水郷都市都江堰―中国・四川省都江堰(紀元前二〇〇年頃完成) 創建者の智恵を守り続けてきた水利施設安済橋―中国・河北省石家荘(六〇〇年頃完成) 中国が誇る匠の技術が造ったアーチ橋西湖の土堤―中国・浙江省杭州(八二五年頃白堤完成/一〇九〇年頃蘇堤完成) いにしえより国民の憧れだった西湖の美しさは今も通恵河―中国・北京(一二九三年完成) 北京の原形・大都を世界通商の中心地にさせた運河昌徳宮の秘苑―韓国・ソウル(一四六〇年完成) 朝鮮王朝歴代王たちの研鑽の場となった静寂な庭園華虹門―韓国・水原(一七九六年完成) 水と敵からの侵攻を防いだ華城の北水門阿里山森林鉄道―台湾・阿里山(一九一三年完成) 木材運搬から観光へ、時代の変遷のなかで走り続ける登山鉄道烏山頭ダム―台湾・六甲(一九三〇年完成) 統治時代、日本が建設した穀倉平野の巨大水がめ施設ホイアン―ベトナム・ホイアン(一六世紀頃建設開始) 国際貿易港として栄えた木造の町並みロンビャン橋―ベトナム・ハノイ(一九〇二年完成) 爆撃の爪あとが残る首都ハノイの鉄道橋西バライ―カンボジア・シェムリアップ(一〇二〇年頃完成) アンコール王国繁
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