1(黄金虫;日本の主婦;別れるときに;泣くか;根がない;トマトナイフ;行楽日和;讃辞;オイルタンク)2(シェビブ;緋目高;無人島;ブリタニカ百科事典;チュニジア;ヒーロー;結界;涙流して;ノルマンディー)3(竹の子供)4(かがやき;栞紐;香りの重さ;食用蛙;晴れの国;ゐのこづち;青い馬;吉備路野;柘榴の花;大きくなるな;琵琶湖;天動説)5(昆虫ゼリー;日本の水;綾取り;クリステル;北陸道;白サルスベリ;無言にさせて;総合病院;それで;柿色;よそ行きのシャツ;瀬戸内育ち)植物の歌、動物の歌が目に付く。植物も由緒ある名花や立派な木々とかでなくて、ほんの足元の野草雑草の類。動物もカメムシとかメダカとかヒヨドリとか、身近すぎてあまり人が取り上げないもの。それらの生き物があたらしい「言葉」で作者とひとすじに繋がれて、さらりと歌になる。騒がしい人が入ってこないミクロコスモスを、いよいよ作者は愛して、しずかで豊かな宇宙のなかに、今日も棲む。(小池光)
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