明治以降、現在も「書」は芸術のジャンルとして不明瞭な立場にある。第二次大戦後、その状況に挑戦する「前衛書」といわれる革新的な試みがあった。なかでも牽引者となった四人、上田桑鳩、森田子龍、井上有一、篠田桃紅の作品と、国内外の美術家との交流に注目し、日本近代美術の制度的枠組みを問い直す。序章(「日本近代美術」のはじまりと書のモダニズム;明治前期―「書画分離」の成立と官僚の二重構造 ほか)第1章 上田桑鳩と「現代の書」―「書のモダニズム」の萌芽(第二次大戦以前の上田桑鳩―「現代の書」の宣言と「線芸術」;モダニズム的な書の表現―一九五〇年代の上田桑鳩の作品 ほか)第2章 森田子龍の「時間性」―美術との交流と戦後の「書画再分離」(文字を書かない試み―α部を巡る議論;『墨美』創刊―国内での対話と海外への発信 ほか)第3章 井上有一の「脱技術」―美術との交流と新たな墨の開発(原点としての「脱技術」―上田桑鳩との出会いと法華経、宮澤賢治への眼差し;「プリミティヴ」なものへの発展―長谷川三郎への傾倒と「童書」への熱中 ほか)第4章 篠田桃紅による「同時代の書画一致」―多分野へにじむ活動(文字と抽象のにじみ―最初期の作品に見られる「同時代の書画一致」;同時代美術としての新しい書―伝統文化と現代生活の接続 ほか)終章明治以降、現在も「書」は芸術のジャンルとして不明瞭な立場にある。第二次大戦後、その状況に挑戦する「前衛書」といわれる革新的な試みがあった。なかでも牽引者となった四人、上田桑鳩、森田子龍、井上有一、篠田桃紅の作品と、国内外の美術家との交流に注目し、日本近代美術の制度的枠組みを問い直す。
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