「春が来た春が来たどこに来た」百年を超えて今も歌い継がれている多くの唱歌の作者とされる高野辰之。だが、邦楽に軸足を置いたその言説は、日本の音楽文化の将来を憂い、鼓舞し、唱歌の時代を鋭く批判するものだった。第1部 高野辰之の業績とその背景(高野辰之像の再検討;国語・国文学とのかかわり;音楽とのかかわり)第2部 高野辰之の邦楽観(明治後期から昭和初期の音楽状況;邦楽観の形成;邦楽における演歌の位置づけ;高野辰之の民謡観)第3部 高野辰之における日本の音楽と教育との接点(唱歌教育期におけるわらべうたの位置づけ;唱歌教育への批判;音楽文化の将来への言及)「ふるさと」など多数の唱歌の作詞家とされる高野辰之。郷土と日本を意識した「初等教育」と「音楽文化」の育成に生涯を捧げた高野の音楽観と教育論を通して、明治・大正期における音楽教育の実像に迫る。
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