通勤や通学の途中で通っていた場所に新しいビルが建つ。しばらくすると、前に何があったか思い出せなくなってしまう。誰もがそんな経験をしたことがあるように、「記憶」は「場所」と深く結びついている。この特性を使って膨大な記憶を整理・利用できるようにする技法がかつてヨーロッパに存在した。文学、哲学、史学、美術史、建築史、音楽学、科学史、思想史など多彩な領域に及ぶこの秘技の誕生から黄昏までを一望する。世界の最先端で活躍する気鋭の著者による決定版!プロローグ ムネモシュネの饗宴―開宴の辞第1章 記憶術の誕生第2章 ルネサンスの記憶術第3章 忘却術とイメージの力第4章 天国と地獄の記憶―ロッセッリ『人工記憶の宝庫』第5章 饒舌なる記憶―デル・リッチョ『記憶術』の世界第6章 テクストの中の宇宙―チトリーニ『ティポコスミア』が描き出す建築的情報フレーム第7章 混沌の森から叡智の苑へ―デル・リッチョの記憶術的理想庭園第8章 記憶術の黄昏―シェンケルの「方法的」記憶エピローグ 終わらない宴スマホをアップデートしたら、画面がガラッと変わって、お目当てのアプリや写真がどこにあるのか分からなくなった……そんな経験を思い出せば、「記憶」は「場所」と結びついていることが分かる。この特性を利用して膨大な記憶を整理・利用できるようにする技法が、かつてヨーロッパに存在した。古代ギリシアで生まれ、中世を経て、ルネサンスで隆盛を極めた記憶術の歴史を一望する書。最先端で活躍する気鋭の著者による決定版!パソコンやスマホをアップデートしたら、画面がガラッと変わって、お目当てのアプリや写真がどこにあるのか分からなくなって呆然。あるいは、近所のコンビニが改装されて、棚の配置がすっかり変わってしまったら、お気に入りのお菓子や飲み物
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