神仏判然令(神仏分離)以降150年、日本人は不思議な宗教環境を生きてきた。かつて神と仏がともにある神仏習合が否定されたとき、何が起きたのか―。本書は「日本人の宗教とは何か」を命題に掲げ、北部九州をフィールドに、祭りやしきたりに深く刻まれた実践や表象を通して、私たちの精神風土に根付き、今も息づく神仏習合のかたちを解き明していく。1章 神仏習合へのアプローチ(顕密仏教と宗教民俗―修験道を再考する;神仏習合と多配列クラス)2章 宗教民俗と神仏習合―大飯食らいと大綱引き(北部九州における宗教民俗の歴史的動態―二丈町淀川「大飯食らい」を中心に;呼子の宗教的環境)3章 神楽と鬼―神仏習合の展開("落差"を解く―豊前神楽をめぐる歴史人類学的一考察;豊前神楽の系譜と改変;多配列クラスとしての「鬼」―修正鬼会から神楽まで;まとめ―「鬼」と伝統文化)4章 山岳寺社と神仏習合―文化資源論への展開(弥谷寺の信仰と民俗;湖底に沈んだ文化資源―地域開発と文化保存;英彦山の信仰と民俗;まとめ―神仏習合と文化資源)5章 結論―日本の宗教文化と神仏習合(日本人の宗教意識と宗教人口;神仏習合の基本構造;「人」と「神」の関係;「仏」の降下―菩薩と明王;「人」と「神=仏」をつなぐもの―加持祈祷)
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