台湾、旧満洲国、中国、韓国、北朝鮮、ロシア、シンガポール、フィリピン、サイパン島、テニアン島…。14の国と地域、200社にのぼる海外神社跡地をめぐり撮影した足かけ10年の成果。明治以降、邦人安穏祈願のため、また版図拡大の皇民化政策として創建された「海外神社」その数1750社以上、いまだその全貌は明らかではない。戦後役割を終えた神社の景観変容から、戦前の植民地支配の実態、戦後のそれぞれの現代史、ひいてはカルチュラル・スタディーズやポストコロニアリズムにつながる重要なテーマを、鮮やかな写真と最先端の論考で提供する。台中神社―台湾・台中市北区台湾神宮―台湾・台北市中山区台湾護国神社―台湾・台北市中山区台南神社―台湾・台南市中西区嘉義神社―台湾・嘉義市東区新城社―台湾・花蓮県新城郷員林神社―台湾・彰化県員林市佳冬神社―台湾・屏東県佳冬郷新竹神社―台湾・新竹市北区鹿野村社―台湾・台東県鹿野郷〔ほか〕大日本帝国時代に創建された「海外神社」のいま――公園で遊具となる鳥居、ジャングルに佇む鳥居、あるいは学校や教会にかわっても、その参道、石灯籠はかつて神社であったことを物語る……。これは日本の風景ではない。かつて大日本帝国がアジア地域を中心につくった「海外神社」である。その数1700余社が残り、いまだ全貌は明らかではない。写真家・稲宮康人は台湾、中国、韓国、北朝鮮、ロシア、フィリピン、サイパン島、テニアン島等、14の国と地域、200社にのぼる海外神社跡地を10年をかけて撮影してきた。大判フィルムカメラによる80社82点の写真からは、現在に残る「神国」の記憶がたちのぼる。またあえて、明治以降に作られた国内神社も収録し、"あった"と"ある"との比較に写真家としてのテーマを求めた。かつて大日本帝国が、移住した邦人
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