前431年、ギリシア世界を二分するペロポンネソス戦争が起こった。アテナイに生まれ、自らも参戦したトゥキュディデスが戦争の歴史を著わしたのが本書である。悲惨な戦いや疫病流行などの精細きわまる描写で、ポリスの状況や人々の心理が臨場感、緊張感を伴って遙かに時を隔てて現代の読者に伝わってくる。ペロポンネソス戦争を描き「歴史」に輪郭を与えた極限の構文が、碩学の渾身の新訳でよみがえる。第1巻 序論と前史(序論と太古以来の前史の概観;戦争の直接的原因 ほか)第2巻 戦争第一年から第三年まで(プラタイア事件の発生;双方の軍事力と同盟国 ほか)第3巻 戦争第四年から第六年まで(ペロポンネソス軍の第三回アッティカ侵入;アテナイ軍、レスボス島を攻囲 ほか)第4巻 戦争第七年から第九年まで(シュラクサイ軍とロクリス軍によるメッセネ占領;ペロポンネソス軍の第五回アッティカ侵入 ほか)第5巻 戦争第十年から第十六年まで(一年間休戦終結;クレオン指揮下のアテナイ艦隊、トラキアへ遠征 ほか)西洋の「知」の源泉であるギリシア・ラテンの主要な著作・作品を可能な限り網羅し、西洋古典の一大書林の形成をめざすシリーズ。専門研究者による厳正な原典理解を基にした、正確でわかりやすい新訳。
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