明治中葉、日本人青年が単身、太平洋を渡っていった。野口米次郎は苦学力行の末、英詩人としてデビューし欧米にその名を知られるところとなり、日本の文学・伝統芸能の世界的価値を欧米に紹介し、ノーベル文学賞詩人タゴールにも比較され、多くの著述をとおして国際的に少なからぬ足跡を残した。日英バイリンガル国際派詩人ヨネ・ノグチ"Yone Noguchi"の前半生を辿るとともに、同時代に雄飛した青年たちの生きざまを探る。第1章 野口米次郎の日本紹介のなかの神秘性(英国における俳句についての講演;神秘なる詩としての能)第2章 帰国後の野口米次郎と神秘の関係(日本から発信する日本の神秘;日本文壇のなかでの活動)第3章 新大陸アメリカのなかの「神秘」志向(秘教思想に出逢った若き日本人たち;シカゴ万国宗教会議と日本の宗教)第4章 野口米次郎の英詩と宗教性(渡米前後;カリフォルニアという場所から;神秘なる異国の詩人ヨネノグチ)第5章 「神秘」とその展開(心霊治療家・木村秀雄と、その妻・駒子;宗教、舞踊、社会意識)1914年英国のロンドン各所やオックスフォード大学で、国際派詩人・野口米次郎は従来の俳句の価値を転換させるような講演をおこなった。どのような雰囲気のなかで何を語ったのか、彼は何を求められていたのか。どうしてそのような英詩の伝統に対する挑戦的な主張がそのとき可能だったのか。本書は10年ごとに時代をさかのぼるかたちで、野口米次郎の前半生をたどりその時代性を捉える。そこには神秘主義・心霊主義ブーム、神秘なる「日本」の伝統や東洋の宗教思想が注目された時代の潮流がみえてくるだろう。野口米次郎はどのように英詩人としてデビューしたのか、その周辺にはどのような人々がいたのだろうか。シカゴ宗教会議の影響や、その直後から
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