第1章 アワドの教訓―戦略的充足感の危険性第2章 分断の技法―フラット化する世界の中のアメリカ第3章 クリシュナの選択―新興大国の戦略文化第4章 インドのドグマ―歴史由来の躊躇をいかに乗り越えるか第5章 官僚と大衆―世論と西洋第6章 ニムゾ・インディアン・ディフェンス―中国の台頭をどうマネージするか第7章 遅れてやってきた運命―インド、日本、そしてアジアにおけるバランス第8章 パシフィック・インディアン―海洋世界の再登場現職のインド外相がその「手の内」を明かす 本書は、台頭著しいインドがどのような外交を展開していくのか、そして変貌する世界の中でどのような役割を果たしていくのかについての見取図を示したものである。著者は、インドの現職外務大臣(2019年の第二次モディ政権発足時に就任)。もともと外交官としてインド外務省で駐米大使や駐中国大使をはじめ要職を歴任し、事務方トップの外務次官を務めた。 本書では、多極化する世界の中で国益を冷徹に追求するとともに国際的地位の向上をめざし、国際社会との調和を図っていくというインド外交の要諦が明確に論じられている。ときに叙事詩『マハーバーラタ』を援用して、友好と競争が併存する国との接し方や二国間関係のパワーバランスを変えるための外部要因の活用法など含蓄に富んだ外交論を展開する一方、日米豪が推進する「インド太平洋構想」に対していかに関わっていくかについても別途一章を立てて詳述する。「インドならではの手法」とは何か――現代インドの政治・外交に内在する論理・思考を理解するための必読書だ。 齋木昭隆氏(元外務事務次官・日印協会理事長)推薦!「インド外交の過去・現在・未来がこの一冊で的確に示されている」
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