歌人・瀬戸夏子の真摯で豊饒な言葉は今日も世界と交差してゆく。その目を見張る多彩なテクストの数々をここに集積する。1 エッセイ(ジ・アナトミー・オブ・オブ・デニーズ;音たてて銀貨こぼれるごとく見ゆつぎつぎ水からあがる人たち/小島なお ほか)2 評論(穂村弘という短歌史;私は見えない私はいない/美しい日本の(助詞の)ゆがみ(をこえて) ほか)3 インタビュー、ブックガイド、日記(瀬戸夏子ロングインタビュー;瀬戸夏子をつくった10冊 ほか)4 歌壇時評(このまずしいところから、遅れてやってきて;「死ね、オフィーリア、死ね」 ほか)5 作品(満月まで十五秒の階段にて;約束したばかりの第一歌集と星と菫のために ほか)歌人・瀬戸夏子の真摯で豊穣な言葉は今日も世界と交差してゆく。同人誌「町」「率」や機関誌「早稲田短歌」に発表された、穂村弘、荻原裕幸、永井祐など、「ニューウェーブ」、「ポストニューウェーブ」の歌人たちを論じた評論から、フェミニズムの視点から批評を展開し、議論を呼んだ歌壇時評、著者へのロングインタビュー、日記や詩集、小説作品、ネットプリントで配布された個人誌まで、その目を見張る多彩な活動の記録をここに集積する。この本をまとめるにあたって、たまっていた自分の文章を読みかえすことになったが、もちろん年月の経過による巧拙の差などはあれど、うんざりするほどひとつのことしか言っていないように思えた。それは、わたしはつねにクリストファー・ロビンを愛するが、現実のクリストファー・ロビンを知りたいという欲望に打ち勝つことはできず、結局のところ、そのふたりのあわいにあるものについて永遠に語りつづけていたい、という欲望である。その欲望とは一見関係のなさそうにとらえられるかもしれない文章にさえ、その
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