1985年8月12日。あの日航機事故から四半世紀が経つ。男たちが語るにはそれだけの「時間」が必要だった―。群馬県・藤岡市。変わり果てた家族と対面した体育館で遺族は茫然とし、うろたえ、絶望した。息子たちはそれでも目を背けたくなるような肉塊と向き合った。時は流れ、やがて、彼らも自身も父親になった。愛する者を突然亡くした体験を家族たちはどう乗り越えたのか。ノンフィクション作家・門田隆将が日航機事故で父を失った息子たちを訪ね、描き出した遺族たちの不屈の物語。第1章 戦士は戻りぬ(二十五年ぶりの尾根;大学中退の異色の自衛隊員 ほか)第2章 「ふつう」が幸せ(夜の暗さが耐えられない少年;運命のいたずら ほか)第3章 遺書の重荷(キャンプから消えた父;重なり合った小さな偶然 ほか)第4章 父が残した機内写真(写し出された乗客のうしろ姿;"反抗期"が救った命 ほか)第5章 検視する側にまわつて(城崎と共に生きた父;満洲からの帰還 ほか)遺族が辿った不屈の物語 1985年8月12日。航空史上未曽有の悲劇。遺族の悲しみと苦しみは想像を絶した。なんの予兆もなく突然、愛する者を奪われた家族たちは、うろたえ、動揺し、泣き叫び、茫然となった。父を失った「息子」たちは、やがて「父親」となった。ノンフィクション作家・門田隆将は思った。「あの、寡黙な男たちこそ、何かを後世に伝える義務があるのではないか」――。<私は、今は「父親」となった当時の「息子たち」を訪ねる作業を始めた。それは決して愉快なものではなかった。訪ねていっても、胸の内を吐露してくれる男たちはむしろ少なかった。今なお、自らの内面を「語る」ことに納得ができていない男たちの方が多かったのだ>(「はじめに」より)しかし、何人かが取材に応じてくれた。彼らは四半
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