昭和一二年七月七日の日中戦争開戦以降、主にはその直接的・間接的な影響によって、文学者‐文学作品‐トピック‐その他関連する文学活動にどのような展開(変化)が生じたのか、日中戦争を関数とする時局がどのように関わったのか、また、その帰結としてどのような新たな問題が生じたのかなどについて、文学場の特徴がよく示されたと思しき複数の切り口から検証。そういった一連の問題系を、主には当時の新聞・雑誌上の文学関連言説の、あたう限り広範な調査・分析に即して、言表された限りにおける文学者の言動や作品、評価軸の変動について論じる。第1部 報告―従軍する文学者/現地報告の眼(「異彩」の特派員・吉川英治―事変報道と新聞連載小説「迷彩列車」を視座として;特異な現地報告―岸田國士『北支物情』・『従軍五十日』の読まれ方;従軍ペン部隊言説と尾崎士郎「ある従軍部隊」―文学(者)の役割)第2部 芸術―戦時下の芸術/時局へのリアクション(川端康成「高原」連作受容の変遷―日中戦争の長期化/文学場の変容;岡本かの子の軌跡―現役小説家時代の評価から没後追悼言説まで;井伏鱒二を支える"わかる読者"の登場―「多甚古村」同時代受容分析)第3部 戦場―描かれた戦場/銃後の受容(火野葦平「土と兵隊」の同時代的意義―文学(者)の位置;戦場における"人間(性)"―火野葦平「花と兵隊」序論;戦争(文学)の"実感"―日比野士朗「呉淞クリーク」試論)補論 研究対象‐方法論再考のために―自己点検としての書評分析
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