矢部貞治は政治に直接コミットした最初の研究者の一人だ。ヒトラーが台頭する欧米に留学し政治の大きな変革を目撃した矢部は、東大法学部の政治学講座を担いつつ近衛文麿のブレーンとして昭和研究会に参加。現実政治での実践を試み、国内・国際新体制を立案する。敗戦後は拓大総長や憲法調査会などの政府委員を歴任しつつ、またメディアを通し政治の変革を求め続けた。本書は矢部の生涯を通し、日本における政治と知識人との関係を描く。第1章 デモクラシーのなかの立身出世―鳥取から東京へ第2章 欧米での在外研究―一九三五年ー三七年の体験第3章 日中戦争の勃発―危機と好機第4章 昭和研究会への参加―近衛文麿のブレーンへ第5章 「新体制」と大政翼賛会―議会制度への懐疑第6章 「大東亜」戦争下の活動―海軍への接近と戦後構想第7章 政治への再接近―「協同民主主義」の伝道師第8章 未完の戦後―憲法調査会と選挙制度調査会矢部貞治は、政治に直接コミットした最初の研究者の一人だ。東大法学部に助手採用された矢部は、助教授時代の1935ー37年にヒトラー台頭下の欧米に留学、政治の大きな変革を目撃する。帰国後は政治学講座を担うなか、首相として"全盛期"にあった近衛文麿のブレーンとして昭和研究会に参加。現実政治での実践を試み、国内・国際新体制を立案する。敗戦後は自らの責任を感じ東大を辞職。同志を集めて日本再建についての研究を始めた。1950年代半ば以降は、拓大総長、憲法調査会や選挙制度審議会など政府委員を歴任しつつ、またメディアでも積極的に発言を行い、政治の変革を求め続けた。本書は矢部の生涯を通し、日本における政治と知識人との関係を描く。
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