共に楽しみ分かち合う経験としての音楽活動がもつ意味を福祉文化論における研究蓄積から考察し、著者自身の「午後のサロン」活動から「場づくり」を具体的に展望する。第1部 理論的蓄積をめぐって(「音楽共有の場づくりとしての音楽活動」の音楽規定;音楽の人間的契機の理論的蓄積―古川孝順の社会福祉理論・一番ヶ瀬康子らの福祉文化論に依拠して)第2部 実践的蓄積をめぐって(福祉文化論における諸音楽活動;社会福祉研究における音楽についての言及が音楽と人間との関係の在り方の追求にもたらす意味;長渕晃二によって提示された「福祉音楽」活動が音楽と人間との関係の在り方の追求にもたらす意味―音楽をより多くの人と分かち合うこと;丹野修一の音楽活動が人間との関係の在り方の追求にもたらす意味―音楽活動の人間的契機を踏まえた技術的契機の展開として;音楽による「まちづくり」が音楽と人間との関係の在り方の追求にもたらす意味)第3部 福祉文化活動における諸音楽活動の理論的蓄積と実践的蓄積との統合(「音楽共有の場づくりとしての音楽活動」の理論的蓄積・実践的蓄積の統合と具現化のための要素)第4部 諸音楽活動の統合としての実践事例(「午後のサロン」におけるピアノ・コンサート実践の意味)第5部 まとめと結論付論 「午後のサロン『懇話会』」の研究方法論的位置付け―アクション・リサーチの研究事例と比較して人間への働きかけとしての音楽活動を巡る従来の理論及び実践の蓄積を踏まえ、「音楽共有の場づくりとしての音楽活動」という理念と具体例としての筆者によるピアノ・コンサート「午後のサロン」の実践事例を提示する。
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