昭和恐慌、世界恐慌からの脱却を目指した日本資本主義であったが、日中戦争の全面化以降、日本農業・農村社会は都市への労働力人口の流出などによって疲弊化していった。本書は、新潟・六日町地域などの代表的な農村地帯や大阪市周辺農村の都市近郊地帯を事例に、日本農業政策の特徴を検証する。第1章 史資料の残存状況と分析手法としての地帯構造論第2章 都市の経済発展と近郊農村―一九二〇ー三〇年代、大阪市周辺農村の事例から第3章 第一次世界大戦期の資本主義発展と農村の動揺第4章 準戦時・戦時期、農業・農村問題の諸相―農産物価格問題から労働力問題への転換第5章 昭和恐慌回復過程での農工間格差と農業基盤への影響第6章 恐慌から戦時へと向かう農業・農村第7章 準戦時期の農本主義第8章 戦時期の農本主義第9章 戦時経済体制への移行過程1929年(昭和4年)10月に起こったアメリカ合衆国を中心とする世界恐慌の影響を受けて、日本でも翌年には昭和恐慌が起こった。なかでも日本農業は生糸の対米輸出が激減したことに加え、デフレ政策と1930年(昭和5年)の豊作によって米価が下落するなど大きな打撃を受けた。そうしたなか日本農業は種々の農業政策によって景気を回復していったが、日中戦争が全面化すると、徴兵によって農家の労働力の主戦である若い男手が戦争に取られたり、また軍需産業の強化によって労働力が都市へ流出していったりして、農村は疲弊化していった。本書は、第一次世界大戦の勃発から第二次世界大戦集結まで期間、いわゆる両大戦間期において日本政府が採った農業政策がどのように農村へ反映されていったのか、その実例として新潟・六日町地域などの農村地帯と大阪市周辺農村の都市近郊地帯を取り上げるなどして、日本農業の特徴を歴史的におよび実証的に検証した
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