狂気に陥るまえのヘルダーリンがみずから公刊した最後の詩のひとつである『生のなかば』。抒情詩の傑作として愛誦されてきたこの短詩のうちに密かに埋め込まれた神話論的な寓意を、緻密な韻律分析と丹念な文献考証をつうじて鮮やかに解き明かす。ひとつのテクストを徹底的に精読することではじめて開かれる、無限の解釈の地平。"ミッドライフ・クライシス"についての詩?韻律による詩の署名としての(サッポー風の)アドーニス格サッポーとディオティーマヘルダーリンのサッポーアドーニス格からアドーニスへ―古典古代の美の神話の再定式化としての『生のなかば』アドーニス、ナルキッソス、美しい白鳥たちヘルダーリンによる美の"理論"「完璧な抒情美」の対極的な原像としてのサッポーとアルカイオス、および自由韻律体の言語という媒体における両者の断片的な現存おのれのうちなる詩の葛藤ヘルダーリンの長大なピンダロス風の詩におけるサッポー的な契機?『生のなかば』と『あたかも祭りの日に』垂れること−立ちつくすこと−漂うこと狂気に陥るまえのヘルダーリンがみずから公刊した最後の詩のひとつである『生のなかば』――抒情詩の傑作として愛誦されてきたこの短詩のうちに密かに埋め込まれた神話論的な寓意(アレゴリー)を、緻密な韻律分析と丹念な文献考証をつうじて鮮やかに解き明かす。ひとつのテクストを徹底的に精読することではじめて開かれる、無限の解釈の地平。
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