チベットで1200年間、弱者として生き抜いてきたボン教。困難な状況下でも無用な争いを避け、相手に学びつつ独自性にこだわる姿勢を貫いてきたボン教の初めての一般向け概説書。誰でもできる瞑想法も紹介。序章 ボン教とは第1章 ボン教の歴史第2章 ボン教の文化―ボン教僧院と地域社会第3章 ボン教の儀礼第4章 ボン教の思想第5章 ボン教教義における密教の位置づけ第6章 はじめてのゾクチェン瞑想―あなたの人生を支える大楽の瞑想第7章 ボン教の呼吸法―ボン教のヨガが人体に及ぼす影響第8章 ボン教のドリームヨガ終章 弱者を生き抜くチベットの知恵―ボン教に学ぶフレキシビリティとレジリエンスチベットやヒマラヤ地域には、1200年の間、弱者として生き抜いてきた「ボン教」という土着宗教が存在する。ボン教は、チベットにおける国教の地位を8世紀末に仏教に奪われた。以後、宗教マイノリティとして、弾圧や差別を受けながら現在まで生きながらえてきた。そうした困難な状況にありながら、ボン教徒たちは仏教徒たちに対して攻撃的な態度をとるのではなく、むしろ、仏教の長所を自らの宗教に取り込み、教義の発展、宗教的な成熟を図ってきた。ボン教が、困難な状況下で、平和的で融和的でありながら、強い独自性を維持する姿勢は、近年、多くの外国人を魅了しており、国際的な認知度も高まりつつある。 1980年代には、ダライラマ14世がボン教徒に対する差別を禁止し、ボン教の信仰の自由を強調した。現在に至るまでチベット亡命政府は、ゲルク派、サキャ派、カギュ派、ニンマ派の4大仏教宗派にボン教を加えた5つを、チベットの伝統的な宗教と認めている。無用な争いを避け、相手に学びつつも、独自性にこだわるという姿勢が、ボン教の哲学の発展と、宗教的権威の回復につながったので
Honya Club.com