「私が話し、書く言語は、私に帰属するものではない」この意表をつく言葉で始まる本書は、18世紀日本(徳川期)の言説空間―漢学・国学・文学・歌論・歌学―における言語をめぐる熾烈な議論が、その果てになぜ日本語・日本人という起源への欲望を生み出したかを解き明かす。シュタイ(主観・主体・主語・主題)・言語・文化・歴史の不可分の関係を論じ、「日本思想史研究」を塗り替える、丸山真男以来の達成。第1部 中心の沈黙―伊藤仁斎と間テクスト性の諸問題(言説編制様式における変化;伊藤仁斎―身体としてのテクストとテクストとしての身体;テクスト性と社会性―実践、外部性、発話行為における分裂の問題)第2部 枠づけ―意味作用の剰余と徳川期の文学(発話行為と非言語表現的テクスト;代補;異化とパロディ)第3部 言語、身体、そして直接的なもの―音声表記と同一なるもののイデオロギー(翻訳の問題;表音表記と歴史;舞踏術の政治)18世紀日本の言説空間における言語を巡る熾烈な議論が、その果てになぜ日本語・日本人という起源への欲望を生み出したのかを解き明かす。言語・主体・文化・民族・共同体の不可分の関係を根底から問い直す書。
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