日本人女性として初めてK2に登頂した著者とラクダと共に生きるシリアの青年。沙漠で出会った二人を待ち受けていたのは、「今世紀最悪の人道危機」、内戦の勃発だった。徴兵された青年は政府軍から脱走を試みるが…シリア内戦を内側から描くノンフィクション。第1章 二〇〇六年 非情の頂、K2からの帰還第2章 沙漠のオアシス パルミラ第3章 混沌のシリア第4章 難民の多様を生きる第5章 日本、目に見えぬ壁第6章 平和を待つ人々第7章 難民の土地終章 夜の光世界で最も困難な山、K2に日本人女性として初登頂した著者と、今世紀最大の人道危機、シリア内戦に翻弄された沙漠の男。平和な沙漠の民が内戦の大きな渦に巻き込まれていく様を二人の目を通し、内側から描いたノンフィクション。角幡唯介、ヤマザキマリ 絶賛!角幡唯介「小松さんが山を下りてからどういう生き方をしているのか気になっていた。混迷のシリアで人間の生の条件を見つづけた彼女の記録は、とても貴重だ」ヤマザキマリ「登山で知った自然界の過酷を、シリアの混乱と向き合うエネルギーに昇華させ、全身全霊で地球を生きる女性の姿がここにある」世界第2の高峰K2に日本人女性として初めて登頂した小松由佳。標高8200メートルでビバークを余儀なくされた小松は、命からがら下山し、自分が大きな時間の流れの中で生かされているにすぎないと知る。シリア沙漠で出会った半遊牧民の男性、ラドワンと恋に落ち、やがて彼の大家族の一員として受け入れられる。平和だったシリアにも「アラブの春」の波は訪れ、百頭のラクダと共に長閑に暮らしていた一家も、否応なく内戦に巻き込まれていく。徴兵により政府軍兵士となったラドワンだが、同胞に銃は向けられないと軍を脱走し、難民となる。しかし安全を手にしたはずのヨルダンで、難民として
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