大物作家から持ち込まれた原稿は、一四〇〇ページを超えていた。出版社は、「これでは長すぎる」と言い作家は「原稿は削れない」と言う―。交渉は決裂し、原稿はお蔵入りに。決裂した交渉をひきとり、ベストセラーを二つ出すことになったノートン社の「創造的枠組み転換」とは?北アイルランドの和平交渉から、教え子の誘拐事件まで、二〇年以上、実際の交渉の研究を続けてきた著者が初めて明かす交渉のABC。第1部 基礎編(そもそも交渉が必要か?;『オーシャンズ11』にみる交渉の三角形;ニューヨークの大地上げに学ぶ)第2部 変化する現場で(一流の交渉人は「二面性」を兼ね備える;アドリブの極意;危機的状況をどう脱するか?)第3部 各段階のテクニック(開始;重大局面;締めくくり方)第4部 上級編(創造力による枠組み転換;追求者と満足者;交渉に正義はあるか?)著者のマイケル・ウィーラー教授は、二十年以上にわたりハーバードビジネススクールで研究を続けてきた、交渉術の専門家です。本書では、同校でウィーラー教授が世界中の経営者や官僚、企業幹部たちに向けて行っている交渉術の講義を、たっぷりと味わうことができます。その交渉術の一番の特徴は、「交渉は動的な過程である」という前提に立っていること。実は、「ウィンウィン理論」を含むこれまでの交渉理論には、ある限界がありました。それは、そうした理論は双方の利害や目的、そして交渉が決裂した場合の次善策などが「静的」、すなわち変わることがないと考えていたことです。しかし、実際の交渉においては、互いの利害はもちろん、状況やパイの大きさまでもが目まぐるしく変化します。そのため、今までの交渉理論は現実の交渉に対応できていなかった、とウィーラー教授は語ります。そこで、
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