海を渡ったブナの謎、海底に沈む太古の埋没林、宗教と国家権力に翻弄された山―知れば知るほど深い日本の森。北海道から沖縄まで、強烈な個性と存在感を持つ森を訪ね、生命の生存戦略の奥深さ、そして人との関わりが生んだ知られざる歴史を追う。森林インストラクターであり、元・共同通信記者でもある著者による、森林大国・日本の12の森のルポ。ブナ、10万年の彷徨 北から南へ、そしてまた北へ―北海道黒松内・北限のブナの森厳冬の季節風が巻き起こす砂嵐、植えては枯れる辛苦の400年―山形県・庄内海岸砂防林豪雪の山で生き抜く人と植物たちのしたたかな知恵―福島県・奥会津源流域の森冬の豪雪と夏の霧、離島が育んだ知られざる神秘の森―新潟県佐渡島・新潟大学演習林屋久島をはるかに凌ぐ巨大スギ群、謎に満ちた生態―富山県立山・稜線を覆うタテヤマスギの森埋没林が語る巨木伝説、太古の森はなぜ海底に沈んだのか―富山県・魚津洞杉の森標高1500mの稀有な空間に秘められた300年伐採の歴史―長野県松本市・上高地の森フィリピン海プレートが運んできた大地―静岡県伊豆半島・天城山の森宗教と国家権力に翻弄されながらいまに続く森―滋賀県・比叡山延暦寺の森神鹿降臨に始まる神の山は、シカの食害で衰退の危機―奈良県・春日山原始林南限のトウヒ白骨林が教えてくれるのは、人災か自然現象か―紀伊半島・大台ヶ原の森汽水域に生きる不思議の樹木たち―沖縄県西表島・マングローブの森元・共同通信経済部記者で森林インストラクターでもある著者が訪ねた、日本全国の12の森のルポ。日本人の暮らしから森の姿が消えつつある今、知っておきたい日本の森の多様性、人との関わりの歴史を取材した1冊。
Honya Club.com