学校教師ペレドーノフは町の独身女性から花婿候補ともてはやされていたが、実は出世主義の俗物で、怠惰かつ傲岸不遜な人物。視学官のポストを求めて奔走するが、町の人々が自分を妬み陰謀を企んでいるという疑心暗鬼に陥り、やがて奇怪な妄想に取り憑かれていく。一方、少女と見紛う美少年サーシャに惚れこんだリュドミラは無邪気な恋愛遊戯に耽っていたが…。ロシア・デカダン派の作家が描く頽廃と倒錯の世界。跳梁する悪魔――ロシア・デカダン派の傑作 地方小都市の教師ペレドーノフは、町の独身女性から花婿候補ともてはやされていたが、実は出世主義の俗物で、怠惰にして傲岸不遜、生徒の親を唆して子供を笞打たせるのを楽しみにしている最低の男。視学官のポストを求めて画策するが、町の人々が自分を妬み、陰謀を企んでいるという疑心暗鬼に陥り、やがて奇怪な妄想に取り憑かれていく。一方、ギムナジウムの生徒で少女と見紛う美少年サーシャに惚れこんだリュドミラは、無邪気な恋愛遊戯に耽っていたが……。作者が「この小説は巧みに作られた鏡である」と述べているように、ここに描かれた地位に執着し噂に踊らされる人々の姿は、我々自身の似姿でもある。主人公ペレドーノフの名は、ロシア文学において悪徳の代名詞にもなった。20世紀初頭のロシア・デカダン派、象徴主義を代表する作家ソログープが、毒のあるユーモアをまじえて描く頽廃と倒錯の世界。
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