きれいなものには裏がある…恐ろしい、ほんものの京都へようこそ。「怨霊」に誘われて…京都人も知らない京都の裏のウラの貌。序章―例えば清水寺の花と死第1章 大社の表の顔と摂社・末社が抱える裏の顔第2章 空也上人と松尾大明神第3章 神となるための残酷と異形第4章 えびす・イナリ・ハチマンとキツネ第5章 日吉山王とヒメ神第6章 大魔王・崇徳天皇の彷徨第7章 菊渓川が誘う第8章 開成皇子「胞衣伝承」と光孝天皇「盲人伝承」第9章 「うつぼ舟」と「流され神」地霊に導かれ、怨霊の声を頼りに京都の町中を歩く。そこから見えてくる、本物の京都の姿とは? 「中世」をキーワードに、神と仏、聖と穢が繰り広げる怪しい京都の奥深く、地下水脈に潜入する。これまでにない、まったくユニークな京都案内。京都では「生と死」は背中合わせ。と言っても、オドロオドロしい京都の風景は昔むかしのこと、今はきれいに清掃され、ちょっと見には「負」の部分はみえない。ただ、私たちが本物の京都を知りたい、観たい、と思えば、1つ方法がある。地霊である。何もない所であっても、その地に立ってただ風景を見る、そして、そこに住む「怨霊」の声に耳を傾ける――すると、昔むかしの風景・出来事が甦る。怨霊たちは案内人となって、私たちを本物の京都へ誘ってくれる。この『京都異界紀行』の案内人の第1に選んだのは崇徳天皇(1119ー1164)の怨霊である。なぜ崇徳か。崇徳は保元の乱(1156)に敗れ讃岐国に配流、帰京の願いならず、配所で憤死した。崇徳の怨霊はしばしば都に現われて、タタリをなした。しかし明治元年、天皇の命により、讃岐の白峯宮より御所の西の地の白峯神宮に迎えられて、ひとまず鎮まった――と、いうことになっていた。いや、崇徳の怨霊は京の町を徘徊していたのだ。それでその
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