アトランティス、ムー、レムリア…。小説やアニメで誰もが一度は目にした幻の大陸。初めてこの伝説を語ったプラトンの思惑をはるかに超えて、"失われた大陸"は、二〇〇〇年以上も人類を魅了し続けてきた。日本に目を転じれば、偽史や皇国史観とも深くかかわった戦前から漫画や特撮もの、映画も含めた戦後のポップカルチャーに至るまでわれわれは"失われた大陸"に取り憑かれ続けている。なぜ、これほどまでに"失われた大陸"は魅力的なのか。数奇な受容史を丹念に跡づけ、その心性にせまる唯一無二のドラマ!序章 「失われた大陸」について問う理由第1章 アトランティスの由来と継承第2章 アトランティスからレムリア、ムー大陸へ第3章 失われた大陸、日本―一九三〇年代第4章 戦時のムー大陸言説―一九四〇年代第5章 戦後の継承―一九五〇‐六〇年代第6章 神話希求と大災害―一九七〇‐八〇年代第7章 浮上し続ける神話―一九九〇年代以降最終章 なぜ語られ続けるのかはるか昔、栄耀栄華を極めながら、一夜にして海中に沈んだ大陸があった――こんな伝説とともに語られるアトランティス大陸やムー大陸。誰しも子供の頃に、その謎に夢中になった記憶があるのではないだろうか。とりわけ日本は、ムー大陸に日本人の起源を見出そうとした戦前の軍高官から戦後のポップカルチャーに至るまで、言わばこの伝説に長く深く取り憑かれてきた。なぜ、我々は失われた大陸に惹かれてやまないのか。伝説の起点ともいえるプラトンから繙き、その複雑にして数奇な伝説受容を辿る野心作!プラトンが紀元前四世紀に、著作のなかでアトランティス大陸について記して以来、ムー大陸やレムリア大陸を含む、いわゆる「失われた大陸(Lost Continent)」は2000年以上にもわたって、私たちを魅了し続けてきた。そこに
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